SSH および FTP でのデータ転送設定
概要
Pandora FMS でファイルを転送するための標準の転送方法である Tentacle では、Perl プログラミング言語がインストールされている必要があります。ESX (UNIX) システムなどの一部のデバイスにはこのツールがありません。その場合は、監視データを転送するために FTP または SSH を使用するという代替手段があります。
Pandora FMS は、SSH プロトコルを使用して、ソフトウエアエージェントによって生成された XML データパッケージをサーバにコピーできます。
Pandora FMS へのデータ取り込みのための SSH 設定
常に、Pandora FMS の セキュリティアーキテクチャ に注意してください。
Pandora FMS サーバを サーバ と見なし、ソフトウェアエージェントを実行している各デバイスを クライアント と見なします。 whoami コマンドを使用して、作業しているユーザをいつでも確認できます。
サーバでのユーザ作成
Pandora FMS サーバがインストールされているホストに pandora
ユーザを作成します。このユーザーは SSH を介してデータを受信します。 Pandora FMS サーバがすでにインストールされている場合は、このユーザはすでに作成済です。 次のコマンドを使用して、このユーザに強力なパスワードを設定します。
passwd pandora
サーバのユーザ設定
サーバ内で、パーミッション 750
およびユーザ pandora:root
で /home/pandora/.ssh
ディレクトリを作成します。
クライアントでの鍵作成
SSH を使用する必要があるエージェントの各システムで、鍵のペア(秘密鍵と公開鍵)を作成します。 これを行うには、Pandora FMS エージェントの実行に使用されるユーザで次のコマンドを実行します。
ssh-keygen
いくつかの質問が表示されます。Enter キーを押すだけで回答できます。 このユーザの公開/秘密鍵がシステムに作成されます。 次に、データの送信先である Pandora FMS サーバであるターゲットシステムにコピーします。
公開鍵のサーバへのコピー
公開鍵を Pandora FMS サーバにコピーします。 作成された公開鍵をコピーするには、2つの方法があります。
手動コピー
クライアント で生成された公開鍵は以下にあります。
/home/<user>/.ssh/id_rsa.pub
ここで、<user>
は、クライアントで Pandora FMS ソフトウエアエージェントを実行するユーザ名です。鍵のペアを root ユーザで生成した場合は、以下にあります。
/root/.ssh/id_rsa.pub
このファイルには次のようなものが含まれます。
ssh-rsa AAAAB3NzaC1yc2EAAAABIwAAAQEAzqyZwhAge5LvRgC8uSm3tWaFV9O6fHQek7PjxmbBUxTWfvNbbswbFsF0esD3COavziQAUl3rP8DC28vtdWHFRHq+RS8fmJbU/VpFpN597hGeLPCbDzr2WlMvctZwia7pP4tX9tJI7oyCvDxZ7ubUUi/bvY7tfgi7b1hJHYyWPa8ik3kGhPbcffbEX/PaWbZ6TM8aOxwcHSi/4mtjCdowRwdOJ4dQPkZp+aok3Wubm5dlZCNLOZJzd9+9haGtqNoAY/hkgSe2BKs+IcrOAf6A16yiOZE/GXuk2zsaQv1iL28rOxvJuY7S4/JUvAxySI7V6ySJSljg5iDesuWoRSRdGw== root@dragoon
この内容を、サーバ の authorized_keys
ファイルの最後に追加する必要があります。パスは次の通りです。
/home/pandora/.ssh/authorized_keys
サーバの authorized_keys
ファイルの所有者とグループは pandora:root
で、パーミッションは 600
である必要があります。
自動コピー
クライアント にて次のコマンドを利用します。
ssh-copy-id pandora@<Server-address>
ここで、<Server-address>
は、サーバ の IP アドレスまたは URL です。
pandora
ユーザのパスワード(ステップ 1 で設定)を要求します。これが確認されると、次のようなメッセージが表示されます。
Now try logging into the machine, with "ssh '<Server-address>'", and check in: .ssh/authorized_keys to make sure we haven't added extra keys that you weren't expecting.
クライアント (のソフトウエアエージェント実行ユーザ)から、Pandora FMS サーバの pandora
ユーザへ自動接続が可能であることを確認します。
ssh pandora@<Server-address>
上記のように サーバ に接続できるようになると、クライアントのソフトウェアエージェントは監視データの送信を開始できるようになります。
クライアント設定
SSH を介した接続を確認できたら、これがソフトウェアエージェントがデータを Pandora FMS サーバディレクトリにコピーするために使用される方法になります。 このディレクトリは次の場所にあります。
/var/spool/pandora/data_in
また、/var/spool/pandora/data_in
ディレクトリが存在し、ユーザ pandora
に書き込み権限があることを確認してください。そうでない場合は機能しません。
最後に、クライアントの ソフトウエアエージェント設定を変更して、コピー方法を tentacle ではなく ssh に設定します。 これは /etc/pandora/pandora_agent.conf
ファイルの transfer_mode
設定トークンで行います。この変更後は、クライアントのソフトウエアエージェントサービスを再起動することを忘れないでください。
SSH サーバのセキュリティ強化
Pandora FMS は、特に sftp/ssh2(scp) を使用して、エージェントからサーバにデータファイルをコピーします。 このため、pandora
ユーザを待ち受ける SSH2 サーバを備えた少なくとも 1つのデータサーバが必要です。 これは、厳密にセキュリティ保護する必要があるネットワークにとって重大なリスクになる可能性があります。
Open SSH2 は 非常に 安全ですが、コンピュータのセキュリティに関しては、絶対に安全なものはないため、“より安全” にするための対策を講じてください。
特定のユーザに対して SSH アクセスを禁止したり、FTP アクセスの制限を設定したりすることも可能です。
それを行うするには、サーバ の pandora
ユーザの設定を変更します。 このユーザには強力なパスワードが必要です。 他のフォルダーへのアクセスを回避するために、ログインシェルを変更しホームディレクトリを変更します。
usermod -s /sbin/nologin -d /var/spool/pandora/data_in pandora
サーバ の pandora
ユーザに対するこの変更で、該当ユーザが SSH でログインした際にはターミナルでコマンドを実行できなくなります。
- Pandora FMS の 推奨 OS を確認してください。
- Debian システムでは、シェルは
/usr/sbin/nologin
です。
FTP にてサーバがデータを受け取る設定
FTP 経由でデータを送信するクライアント設定は、送信するユーザとパスワードの指定で可能です。tentacle の代わりに FTP を介してコピーを実装するのは非常に簡単です。
FTP でデータを送信するために Pandora FMS ソフトウェアエージェントを設定することに加えて、Pandora FMS サーバを実行実行しているサーバに FTP サーバを設定し、ユーザ ''pandora'' のパスワードを設定し、ユーザ pandora
にディレクトリ /var/spool/pandora/data_in
とそのサブディレクトリへの書き込みアクセスを許可する必要があります。
FTP サーバはこれらのニーズを満たすように設定する必要があります。このガイドでは vsftpd を使用します。
vsftpd のインストール
Tentacle の代わりに FTP を使用することの欠点は、FTP を介したデータ送信の安全性が低くなることです。これは、Pandora FMS サーバで FTP を実行すると、FTP システム固有の設計に起因して脆弱になるためです。次のセクションでは、vsftpd サーバ (単に サーバ と呼びます) を最小限の方法で設定する方法を説明します。
安全上の理由で pandora
ユーザの SSH 経由のログインを無効にするのと同様に、FTP 経由の安全なアクセス方法を設定する必要があります。簡単で安全な方法は、vsftpd の PAM ルールを作成することです。 次の内容の /etc/pam.d/ftp
ファイルを作成します。
- /etc/pam.d/ftp
auth required pam_listfile.so item=user sense=deny file=/etc/ftpusers onerr=succeed # Standard pam includes @include common-account @include common-session @include common-auth auth required pam_succeed_if.so quiet user ingroup pandora auth required pam_succeed_if.so quiet shell = /sbin/nologin
vsftpd 設定ファイル (/etc/vsftpd.conf
) では、pam_service_name
トークンが次のように設定されています。
pam_service_name=ftp
この設定により、pandora
グループに属し、nologin
のシェルを持つユーザのみが FTP 経由でPandora FMS にアクセスできます。 そのため、pandora
ユーザを含むグループ pandora
を作成する必要があります(存在しない場合)。
/etc/vsftpd.conf
ファイルにて、いくつかの設定を調整するだけで、FTP 経由でログインするユーザの root へのアクセスを制限できます。 パラメータは次のとおりです。
chroot_local_user=YES chroot_list_enable=YES chroot_list_file=/etc/vsftpd.nochroot_list
一部のユーザを除外し、Chroot に制限することを避ける必要がある場合は、vsftpd.nochroot_list
ファイルにそのユーザを含めます(1行に1ユーザー)。
セキュリティを強化するための他のオプションは次のとおりです。
dirlist_enable=NO download_enable=NO deny_file=authorized_keys deny_file=.ssh chroot_local_user=YES
設定を変更した際は、それを反映するために vsftpd サービスを再起動する必要があります。
これらの設定により、ユーザはそのルートディレクトリ (pandora
ユーザの場合は /var/spool/pandora/data_in
に限定されます)。 ユーザは FTP 転送を実行してファイルを送信できますが、ファイルの一覧は見ることができません。
FTP でユーザ pandora を使用してログインし、ディレクトリの移動とファイル一覧の取得を試してみてください。できない場合は、正しくセットアップができています。