エージェントプラグイン開発
エージェントプラグイン開発
エージェントプラグインの基本機能
エージェントプラグインは、Pandora FMS ソフトウエアエージェントで実行され、いくつかの特別な機能があります。
- それぞれのプラグインの実行では、一つまたは複数のモジュールの値を返します。出力は後述する XML フォーマットである必要があります。
- ローカルマシンのリソースおよび、リモートで他のマシンのリソースの両方にアクセスすることができます。
- Pandora ソフトウエアエージェントがインストールされている OS でサポートしている、任意のプログラミング言語を利用することができます。
- プラグインを実行するために必要な依存プログラムは、Pandora ソフトウエアエージェントを実行するのと同じマシンにインストールされている必要があります。
エージェントプラグインは、“自動検出タスク” のようなことを実行でき、プラグインは一度の実行で複数のモジュールを返すことができ、また、実行ごとに異なる数を返すことができます。
UNIX および Linux では、プラグインの終了ステータスは 0 でなければなりません。そうでないと、プラグインの出力は無視されます。
エージェントプラグイン開発の例
簡単なプラグインの例を説明します。このエージェントプラグインは、ファイルシステムの利用率を返します。プログラムコードは次の通りです。
#!/usr/bin/perl use strict; sub usage() { print "\npandora_df.pl v1r1\n\n"; print "usage: ./pandora_df\n"; print "usage: ./pandora_df tmpfs /dev/sda1\n\n"; } # Retrieve information from all filesystems my $all_filesystems = 0; # Check command line parameters if ($#ARGV < 0) { $all_filesystems = 1; } if ($ARGV[0] eq "-h") { usage(); exit(0); } # Parse command line parameters my %filesystems; foreach my $fs (@ARGV) { $filesystems{$fs} = '-1%'; } # Retrieve filesystem information # -P use the POSIX output format for portability my @df = `df -P`; shift (@df); # No filesystems? Something went wrong. if ($#df < 0) { exit 1; } # Parse filesystem usage foreach my $row (@df) { my @columns = split (' ', $row); exit 1 if ($#columns < 4); $filesystems{$columns[0]} = $columns[4] if (defined ($filesystems{$columns[0]}) || $all_filesystems == 1); } while (my ($filesystem, $use) = each (%filesystems)) { # Remove the trailing % chop ($use); # Print module output print "<module>\n"; print "<name><![CDATA[" . $filesystem . "]]></name>\n"; print "<type><![CDATA[generic_data]]></type>\n"; print "<data><![CDATA[" . $use . "]]></data>\n"; print "<description>% of usage in this volume</description>\n"; print "</module>\n"; } exit 0;
コードの重要部分は、利用方法を表示する関数です。
sub usage() { print "\npandora_df.pl v1r1\n\n"; print "usage: ./pandora_df\n"; print "usage: ./pandora_df tmpfs /dev/sda1\n\n"; }
この関数では、プラグインのバージョンと利用方法を説明します。これはとても重要で、パラメータ無しや -h, –help といったオプションをつけてプラグインを実行したときに表示すべきです。この例では、-h オプションをつけて実行した場合、次の処理でそれを判断します。
if ($ARGV[0] eq "-h") { usage(); exit(0); }
プラグインから返される値としては、ファイルシステムから一回データが収集されることがわかると思います。データを含めた XML の書式を生成し標準出力に出力します。この処理は次の部分で行われています。
while (my ($filesystem, $use) = each (%filesystems)) { # Remove the trailing % chop ($use); # Print module output print "<module>\n"; print "<name><![CDATA[" . $filesystem . "]]></name>\n"; print "<type><![CDATA[generic_data]]></type>\n"; print "<data><![CDATA[" . $use . "]]></data>\n"; print "<description>% of usage in this volume</description>\n"; print "</module>\n"; }
このプラグインの出力結果は、次のようになります。
<module> <name><![CDATA[tmpfs]]></name> <type><![CDATA[generic_data]]></type> <data><![CDATA[0]]></data> <description>% of usage in this volume</description> </module> <module> <name><![CDATA[/dev/mapper/VolGroup-lv_home]]></name> <type><![CDATA[generic_data]]></type> <data><![CDATA[26]]></data> <description>% of usage in this volume</description> </module> <module> <name><![CDATA[/dev/sda9]]></name> <type><![CDATA[generic_data]]></type> <data><![CDATA[34]]></data> <description>% of usage in this volume</description> </module>
このプラグインから返されるモジュール数は、設定したファイルシステムの数に依存し、実行ごとに変更することができます。
この XML がソフトウエアエージェントが生成する全体の XML に追加され、Pandora サーバへ送信され、データサーバ にて処理されます。
トラブルシューティング
Pandora FMS がエージェントプラグインを認識できないと、期待した値が取得できなかったりエージェントが動作しません。その場合の確認ポイントを以下に示します。
pandora_agent.conf のドキュメント確認
ソフトウエアエージェントでは、プラグインの 正しいパス がこのファイル内に書かれている必要があります。
例:
module_plugin /etc/pandora/plugins/MyMonitor.pl /etc/pandora/plugins/MyMonitor.conf 2> /etc/pandora/plugins/MyMonitor.err
MyMonitor.pl はエージェントプラグインで、MyMonitor.conf は引数として渡される設定ファイルです。また、MyMonitor.err はプラグインを実行した場合に出力されるエラーを書き込むファイルです。
pandora_agent_daemon の再起動
ソフトウエアエージェントは 5分ごとにプラグインを実行します。次回の実行まで待てない場合は、コマンドラインからソフトウエアエージェントを再起動します。
例:
/etc/init.d/pandora_agent_daemon restart
プラグインのパーミッションの確認
プラグインおよび利用するファイルは、リード、ライト、実行の権限を正しく設定する必要があります。Unix であれば、次のようにします。
chmod 755 <プラグインファイル>
出力の確認
エラーを見つける簡単な方法は、コマンドラインでプラグインを手動実行することです。注意して出力結果を確認してください。例えば、次のように実行します。
popeye:/etc/pandora/plugins # ./pandora_df <module> <name><![CDATA[/dev/sda2]]></name> <type><![CDATA[generic_data]]></type> <data><![CDATA[19]]></data> <description>% of usage in this volume</description> </module> <module> <name><![CDATA[udev]]></name> <type><![CDATA[generic_data]]></type> <data><![CDATA[1]]></data> <description>% of usage in this volume</description> </module>
XMLの確認
プラグインが出力する XML は、正しい XML の書式である必要があります。 XML はまた、正しく整形されている必要があります。それを確認するためには、コマンドラインから次の手順を実行します。
- プラグインの出力を xml ファイルに落とします。: ./Plugin.pl > Plugin.xml
- xml ファイルの書式をチェックします。: xmllint Plugin.xml
デバッグモード
pandora_agent.conf ファイル内で、debug の値を 0 から 1に変更することで、デバッグモードを有効にすることができます。これを行うと、ソフトウエアエージェントがプラグインを実行した結果が、エージェントのその他の情報とあわせて xml ファイルに保存されます。
ファイル名は、エージェント名と .data を含むもので、/tmp ディレクトリに保存されます(pandoraエージェントのログは、/var/log/pandora/pandora_agent.log を確認してください)。内容を確認し、期待したプラグインの実行結果が含まれているかどうかを見ます。
デバッグモードを有効にすると、エージェントは 1回の実行で終了します。